ほっとコミュニケーションなごや

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月まで三キロを読んで·再読して各短編の感想

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以前に一度読んで軽く全体の感想をupしましたが今回は短編1つ1つをじっくり読んで感じた事や教訓を文章にしました。

帯からの引用です。

人生に行き止まりはないのだから。

折れそうな心に寄り添う六つの物語。

月の裏側には孤独があり、化石の渦には哀しみがある。顕微鏡の奥に広がる小宇宙を、光ピンセットで拾い集めたい結晶世界のきらめき。そんな素敵な小説です。 福岡伸一生物学者•『動的平衡』著者

本書がなぜ新鮮なのか。理系的世界を描きながらも。そこで描かれるのが感情的なドラマであるから。 (「波」1月号より) 北上次郎氏 文芸評論家

月まで三キロ

帯から 「月は一年に3.8センチずつ、地球から離れていっているんですよ」死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。

自殺を考えていた男と乗り合わせたタクシードライバー、会話が進むうちに男の自殺志願を知ったドライバー。

その上でドライバーが取った行動とは、その理由が明らかになるにつれて男の心境は変わってきました。

男とドライバーとの奇妙な共通点を知り親子のあり方を見つめ直して新たな道を歩き始めました。

星六花

合コンで出会った気象庁に勤める37歳の男と40歳を目前にした女、女は恋や仕事に満たされない気持ちの中で男と再会をします。

女は再会をして心ときめくが、ある事件がそれにストップをかける。そうこうするうちに男はある事柄を打ち明けます。

その経験から男は「美しいものを憎みながら、美しいものをみつかられる人」になった。男と女の心の底にある純粋な思いを感じた作品です。

ちなみなテーマの星六花は雪の結晶の1つです。

アンモナイトの探し方

祖父の家がある北海道に里帰りした受験を控えた小学生の少年がアンモナイトを探す老人との対話を通して、自分の生き方を見つめ直す物語です。

知識豊富な少年に老人はノジュール探しを実践させます。老人は元博物館の館長でした。

祖父にその話しをするとノジュール探しを説明なしに止められます、そして里帰りした理由が語られます。

化石になりかける少年、知識だけの少年に対して「分かるとことと分からないことを、きちんと分けること」「上手くいことだけを選んでいけるほど、物事は単純でない、まずは手を動かすこと」にヒントを得て化石になってたまるかの思いが湧き上がりました。

天王寺ハイエイタス

京大出の国立環境研究所に勤める兄貴の優と元ギタリストの哲おっちゃんの奇妙なやり取りから物語が始まります。

阿倍野の小さな自家製かまほこ店の家系は三代平凡な次男で受け継がれてきました。三代目次男視線で描いかれています。

長男は普通でなく、じいちゃんの兄貴は変わり者でフィリピンで戦死、おとんの兄貴は哲おっちゃん、そして兄貴の優のメンバーが取りなす人情劇場です。

哲おっちゃんはプロのギタリストとして活動していました。40歳になる頃にミチコさんと結婚して1年も経たずに離婚しましたが、生まれた女の子がミカちゃんです。

音楽科4年のミカちゃんが兄貴の優を訪ねて「哲おっちゃんがギターを弾かないなか、それで後悔はないのか、娘のことをどう思っているのか」の質問から本題に入っていきます。

大切なものを20年掛けて大阪湾に捨てていた、過去の堆積物から人間を見る兄貴。

捨てる順番や物から哲おっちゃんの本質に迫る兄貴。無堆積の期間をハイエイタスと言い、その時に起きた事柄は何か?!

いつもは馬鹿をやって嫌われている哲おっちゃん男気と優しさ、音楽愛に感じいる作品です。

エイリアンの食堂

三カ月必ず8時45分きっかけに現れてお決まりのオーダーをする41歳の主人公の謙介と似た年齢を思わせる女性。

自慢の日替り定食を一度も注文せずに、その意外な理由とは?!

毎日通って来た女性が突然、来なくなりました。しばらくしたある日女性はお店に顔を出しますがそれが最後の日でした。それまで来なかった理由とは。

帯の紹介から

「実はわたし、138億年前にうまれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎晩定食を頼む女性が、小学生の娘に伝えたかったこと。

女性が母親を亡くした小学生に伝えた事が感動的でした。

山を刻む

帯から

「僕ら火山学者は、出来るだけ細かく山を刻むんです」。姑の誕生日に家を出て、ひとりで山に登った主婦。出会った研究者に触発され、ある決意をする(物語)

女性は山の様にきざまれて来た人生を振り返る。嫁いで三十年毎年やってきた義母の誕生パーティーをすっぽかそうとしている女性。

一人山に来たのは、ある返事をする覚悟を確かめるため。なりたいものになれた火山学者の話しを聞いて我が身を振り返る女性。

印象に残る文書

人との出会いと言うのは、つくづく不思議なものだと思う。一人との偶然の出会いが、気まぐれにそこに分岐点を作る。


著者紹介 伊予原 新(いよはら しん) 1972年、大阪生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。